医学部物理の勉強方法

物理という科目の特徴

物理を学ぶうえで、まず知っておくべきはその科目の本質である。受験物理とは、現実世界で起きるさまざまな現象を整理・体系化した物理学を、高校課程の範囲に落とし込んだものにすぎない。すなわち、「実験の結果、この世界にはこういう法則が成り立つと分かった。では、その法則を使って問題を解いてみよ」というのが受験物理の出題の根本である。 この科目の最大の特徴は、「解き方の理解なくして問題は解けない」 という点にある。物理を制する者と挫折する者を分ける決定的な要素は、この一点に尽きる。

「そこそこ解ける」受験生が一番危険

 

ここで特に注意してほしいのが、ある程度は解けてしまう受験生である。物理はどれほど勉強時間を費やしても、本質を理解していなければ成績は伸びない。にもかかわらず、多くの受験生は「解き方の暗記」だけに頼り、表面的な力で乗り切ろうとする。 厄介なのは、この方法でも教科書レベルの基本問題や典型問題は正解できてしまうことだ。模試では基礎的な良問が多く出題されるため、公式や解法パターンを覚えていれば偏差値60前後までは到達してしまう。ところが、この「まあまあ解ける」状態こそが最も危険なのである。 なぜなら本人には危機感がなく、物理に対して一定の自信さえ持ってしまうからだ。自覚のないまま誤った勉強法を続ければ、やがて入試本番で壁に突き当たり、改善の余地も見いだせないまま失敗することになる。暗記科目であれば量をこなすことで成果が出ることもあるが、物理はそうはいかない。ただ時間を浪費するばかりである。真に差がつくのは、ちょっと得意のその先であることを肝に銘じてほしい。

医学部物理の特徴とそれぞれの攻略方法

医学部物理の特徴は、正直一概に言えません。本当に学校によって難易度・合格に求められる能力が違うのです。大きく分けて4つのパターンがあるので説明していきます。

①短時間で多くの典型問題を解かせるパターン

私立下位~中堅でよくみられるパターンです。問題一問一問は簡単でも、試験時間に対して明らかに問題量が多く、計算量も半端じゃないです。この形式の注意点としては、典型問題だから解ける!と考えて、気づいたら一問に時間をかけすぎてしまうことです。医学部入試では物理・化学で合わせて120分にすることがあるので、物理に時間をかけすぎると化学の時間が取れなくなります。

この形式の受験校で求められる能力は、典型問題を瞬時に解く能力、計算速度、解くべき問題を見極める能力、計算ミスをしない能力です。特に計算ミスと解くべき問題を見極めることは本当に大切です。時間をかけずに飛ばした一問による失点と、時間をかけて解いた問題を計算ミスで落とした失点では本質が違います。なぜなら、飛ばした問題の損失はその問題の失点だけですみますが、時間をかけた問題の損失は時間+失点になるからです。また、解くべき問題を選別することも大切です。5分で解ける一問と20分かかる一問ではどちらを解くべきでしょうか。試験本番は少しでもいい点を取ろうとして視野が狭くなるので、解けそうな問題ならなんでも解きたくなってしまいますが、仮に問題を解けたとしても時間を使いすぎれば当然不合格になります。解けそうな問題でも捨てる勇気をもつことが重要です。

攻略方法は、できるだけ正確に素早く解き、解くべき問題をその都度見極めるだけです。シンプル故に単純な計算能力や頭の回転の速さ、ミスをしない正確さで差が付きます。しかし、この形式の大学では思考力や応用力、物理学への理解はいらないため、受験問題を解く技術が高い人は受かりやすいです。

代表大学:東京医科大学、日本大学N方式など

②標準問題だけで構成された王道パターン

地方・中堅国立医学部や一部の私立大学でみられるパターンです。一般的な受験物理とほとんど変わらない問題量・難易度で構成されています。標準問題が多いため理解度によって差がつく問題が多く、受験層のレベルが高い医学部では高得点勝負になりがちです。

この形式の受験校で求められる能力は、計算能力、物理学の本質をある程度理解していることです。思考力や応用力、物理学への深い理解はそこまで求められるわけではありませんが、多少は差がつくポイントになります。

攻略方法としては、標準的な問題をどれだけ安定して取れるかという物理の完成度を磨くことにあります。当然裏技のような攻略法はないので、しっかりと勉強した人とそうでない人で大きく差が付きます。

代表大学:地方・中堅国立大学、大阪医科、昭和大学など

③医学部特有の癖の強い問題で構成されたパターン

下位~上位までの私立大学でみられるパターンです。とにかく癖が強く、問題のよっては大学の知識が必要なものもあります。奇問や悪問が多いので、そのような問題では差がつかず、奇問に隠れた標準的な知識で解ける問題で差がつくことが多いです。

この形式で求められるのは、物理学へのある程度の理解、思考力や応用力、そして読解力です。読解力とはどういうことだろうか?と考えるひともいると思いますが、実はこのパターンの大学ではとても大切な能力となります。奇問や悪問には出題者が何を求めているかよくわからない問題が多く、出題者の意図を問題分から読み解く力が大事だったりもします。

攻略法としては、出題者の意図を考え、学んできた物理学の知識でどうやって解くのか常に思考することです。また、解けそうな問題を探してその問題は絶対に解ききることも大切です。

代表大学:東京慈恵会医科大学

④シンプルな難問で構成されたパターン

上位の私立大学、国立大学でみられるパターンです。シンプルな難問が多く、生半可の理解では太刀打ちできません。

この形式で求められるのは、物理学への深い理解、思考力や応用力、理数系のセンスです。理数系のセンスとは、空間能力や数学的な理解など理数系の分野全般におけるセンスのことです。このレベルの難問になると物理学的な能力ではなく、数学的な能力も必要となるので、理数系的な思考センスが求められるということです。

攻略法としては、物理学を深く理解すること、そしてもって生まれたセンスで解くことです。このレベルの問題で求められる思考力は、努力だけではどうにもならないところもあるので、地頭が重要なことは否定できません。

代表大学:旧帝国大学、慶応義塾大学など

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