数学の勉強方法の基本
数学で重要なことは理解と計算練習です。受験数学を攻略する際には、この二つの完成度で決まります。
数学の勉強というものは、数学への理解がとても重要ですが、多くの人はなんとなくでやっているのが現実です。つまるところ、典型問題を解くことができても、問題の解き方の説明や、各分野ごとの定義、公式の導出などがあいまいになっている人がほとんどです。特に、数学の偏差値が50~60程度の人で数学に自信がある受験生は、大体がこのパターンだったりします。なまじ典型問題がスラスラ解けてしまうことで調子に乗り、根本的な理解ができていないまま難しい参考書の問題ばかり解き、成績が伸びない受験生があまりにも多いです。問題集にある難問を解けば、数学ができるようになるなどという幻想に囚われている受験生が多く、もはや一種の集団催眠といっても過言ではないです。教科書レベルの参考書などを用いて、基本事項を理解することが数学の偏差値を上げる近道です。
数学の勉強には計算練習も重要です。計算練習とは、受験数学で用いられる基本的な計算をスラスラと解けることです。例えば、平方完成や指数対数の計算などの基本的な計算処理、あるいは典型問題にあるような決まりきったパターンで問題を処理できることです。医学部はこの処理能力がとても重要になります。医学部では、試験時間に対して問題量を圧倒的に多くする傾向があります。そのため、時間との戦いになりやすい医学部数学では、実践の反復練習によって培った計算能力が必須です。数学はとにかく理解が重要!何よりも理解理解!!という頭が固い人がいますが、その考え方に固執することは間違いです。受験数学特有の問題処理方法を覚え反復し、何も考えないでも手が動く程度まで受験数学に慣れることも重要です。時間内で解ける問題が少ない医学部入試では、数学の理解が浅い受験生でも解くスピードで逆転することもあります。どちらの方が重要かなどという頭の悪い考え方は捨てて、理解と実践の両方を並行して学習していきましょう。
数学の参考書を使う順番
前述した通り、自分にあってないレベルの問題を解くことは無意味です。基礎学力が不十分なまま自分の身の丈にあっていないレベルの参考書を使っても偏差値は上がりません。上滑りをするような勉強方法だけは必ず避けましょう。
とにかく、数学は自分の学力に合った参考書を使うことがベストです!
偏差値別オススメ参考書
初学~偏差値40
初学からでも数学の偏差値は十分上げることができます。初学~偏差値40の受験生はまず基本的な講義型の参考書から勉強を始めましょう。
やさしい高校数学シリーズ
わかりやすさ | ★★★★★ |
網羅性 | ★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
参考書自体が抗議型となっており、対話形式で読めるため、とてもわかりやすく読みやすい参考書です。もちろん、初学からでも十分理解することができます。数学が苦手な受験生や、分野ごとに穴がある受験生には理解できない分野だけを読み直し、数学の辞書のように使うのがおすすめです。ただし、あまりにも解説が詳しく、すべて読むのに時間がかかるため、初学者はよほど数学が苦手でなければ数学入門問題精講をおすすめします。
数学入門問題精講
わかりやすさ | ★★★★★ |
網羅性 | ★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
解説を読みながら問題を解くことで勉強を進めることができます。解説が詳しく書かれているので、初学からでも十分理解できます。また、重要なことがとても簡潔に書かれているので、とても無駄なく短期で勉強を進めることができます。
偏差値40~偏差値60
偏差値50前後の受験生は典型問題のみで構成された基本の参考書を使うことをおすすめします。必ずすべての問題が解けるようになるだけでなく、解説の内容もしっかりと理解しましょう。基本的な参考書の問題を本当の意味で理解していれば、偏差値60は必ず超えます(逆に言えば、以下に紹介する参考書を使っても偏差値が伸びない場合は、勉強の仕方が悪いか、量が不十分ということになります)。また、上記でも説明したように大学受験の数学は計算能力も大切なので、それにあった参考書も紹介します。
数学基礎問題精講
わかりやすさ | ★★★★☆ |
網羅性 | ★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
受験に使う基本事項を簡潔にすべてまとめている点がとても素晴らしい参考書です。とにかく無駄が少なく、短期間で数学の基本をマスターできるところが他の参考書よりはるかに優れています。解説はたまに簡潔すぎてわかりにくいところがあるので、その時はやさしい高校数学などを確認しながら進めましょう。
青チャート
わかりやすさ | ★★★☆☆ |
網羅性 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
問題量が多く、網羅性が高い点が魅力的な参考書です。しかし、基礎問題精講に比べると無駄に問題量が多く、私立受験生でも3教科4科目、国立なら5教科8科目の勉強が必要な医学部受験生には不向きといえます。
合格る計算
わかりやすさ | ★★★☆☆ |
網羅性 | ★★★☆☆ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
こちらは計算練習用の問題集です。小学校の時の宿題で出された計算ドリルの数学版のような参考書となっており、大学受験で使う基本の計算はすべて演習できます。計算練習を積むことで、計算スピードの向上と計算ミスの減少につながるので、パターン的な計算処理の多い大学受験ではとても力になります。特に医学部頻出の数Ⅲの積分対策では、こちらの参考書がとても役に立ちます。
偏差値60~
偏差値60以上の受験生用は少し難しめの問題を解きながら、応用問題を解くための演習を積んでいくことをおすすめします。特に医学部では数学的手法が多いことがとても重要になるので、発展的な内容も理解することで、より数学の能力を向上させましょう。
標準問題精講
わかりやすさ | ★★★★☆ |
網羅性 | ★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
内容はとても難しいですが、医学部受験の問題に近いものが多い参考書となっています。医学部受験は理系数学に多い数学的センスを問われる問題よりも、文系数学に多い複雑な計算問題や、論理力・思考力、または正確に場合分けを行う能力などが問われる問題が多いです。こちらの参考書はどちらかというと文系寄りの難問が多いため、医学部受験生にとても適した参考書です。特に、私立の難関校の受験をメインに考えている受験生にはおすすめです
数学I+A+II+B 上級問題精講
わかりやすさ | ★★★★☆ |
網羅性 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
内容はとても難しく、理系数学と文系数学の難問が収録されていて網羅性が高いです。ただし、医学部受験では出題されにくいタイプの問題も多いため、時間に余裕がある人でなければおすすめはできません。私立の難関校と旧帝、医科歯科などの国立を両方受ける受験生であれば、使用する価値があると思います。